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Japanese News

若田光一宇宙飛行士がISSから語る「宇宙ビジネスへの期待」–単独インタビュー – CNET Japan read full article at worldnews365.me

 宇宙ビジネスメディア「UchuBiz」はこのたび、国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在中の若田光一宇宙飛行士と交信し、単独インタビューを実施。その様子が、12月6日に開催されたオンラインカンファレンス「CNET Japan × UchuBiz Space Forum 業界の垣根を超えて広がる宇宙ビジネスの可能性」において配信された。 無重力のISS上で質問に回答する若田光一氏(聞き手はUchuBiz 共同編集長の藤井涼)  本稿では、スペシャルインタビュー「ISS滞在中の若田光一宇宙飛行士に聞く『宇宙ビジネス』への期待」の内容をレポートする。  若田氏は、日本時間の2022年10月7日にクルードラゴン宇宙船(Crew-5)でISSに到着し、取材時点の12月も地球軌道上に滞在している。ISS内では、日本が開発を担当した「きぼう」日本実験棟での実験・観測といったステーション内の活動を行いつつ、Twitterなどで現地からの情報発信も行っている。  若田氏が宇宙飛行士として初めて宇宙に旅立ったのは、1992年のこと。そして今回で宇宙滞在が5回目となる同氏は、宇宙開発やビジネスの現状をどのように捉えているだろうか。その問いに対して若田氏は、まず日本の宇宙進出の現状から語り始めた。  「この30年間を振り返ると、日本はロケットの技術、人工衛星の技術、有人宇宙技術の分野など、まず毛利衛さんのスペースシャトルを利用した宇宙環境の利用から始まって、宇宙探査を含めて様々な分野でミッションをこなし、数々の業績を上げてきました。有人宇宙の分野でも、スペースシャトルを使った宇宙利用のミッションから始まり、ISSの『きぼう』日本実験棟、宇宙ステーション輸送機『こうのとり』の開発・運用を通して着実に有人宇宙技術の水準を上げ、この国際宇宙ステーション計画を含めて世界に信頼されるパートナーになったと思っています」(若田氏) ISSの活動と民間の動きで宇宙利用が身近に  日本は現在、NASAが実施する「アルテミス計画」や「ゲートウェイ計画」に参加し、今後は月や火星を探査していく計画である。それにあたり、国は先般ISSの運用延長を表明。有人宇宙技術のさらなる発展においてISSを重要なアセットとして、月・火星探査に向けた「技術実証」「科学利用」「商業利用」という3つの柱で、ISS設計上の限界とされる2030年まで「きぼう」を使っていく方針だ。  一方で昨今では、イーロン・マスク氏や前沢友作氏など、民間人の宇宙旅行が話題となり、ビジネスやマーケットとしても盛り上がりを見せつつある。そのような民間の動きに対して若田氏は、「地球低軌道の活動を経済活動の場にしていく起爆剤になる」と期待を寄せる。  「適切な競争が輸送コストの低下を促進し、宇宙利用というものが身近になっていくでしょう。さらに、地球低軌道以遠の宇宙探査を効率的に進めていくことにも繋がります。そういう意味も含め、2030年まで我々はISSの価値と役割をしっかり認識して、地球低軌道での活動を推進していく必要があると感じています」(若田氏) 資源とメンタルをケアする組み合わせが有効に  民間の参入が活発化している中で、JAXAでは、宇宙飛行士がISSに滞在した際の困りごとや悩みごとをまとめた「Area Life Story Guide」を公開している。実際にその中から民間企業が着想を得て、様々な日用品や食品を開発しているが、それらを今回若田氏はISSへ持ち込んでいる。5回の滞在を経験する若田氏は、肌感覚としての宇宙生活における質(QOL)の進化について、「どれも使い勝手が良く、素晴らしい製品になっている」と謝意を示した上で、特に制約が大きい水に関連する製品に有難さを感じていると話す。  「ISSの中では水は貴重な資源です。1日に人が使える水の量は飲み水も含めて3リットル以下なので、エタノールフリーのシャワーペーパーや頭皮の汚れを簡単に落とせる洗髪シートは、体をきれいにするだけでなく、精神・心理的な支援という観点からも非常にありがたい。ISSのような閉鎖環境では、とても重宝します。今後の製品開発に際しても、爽快感を与えてくれるような小さな工夫や、朝起きて顔を拭くだけでまた今日も頑張っていこうという気持ちになれるような、ちょっとした工夫を考えていただけることを期待しています」(若田氏) 宇宙空間でもノートPCは欠かせないアイテムに 世界の宇宙飛行士に好まれる日本食に勝機  人のQOLに大きな影響を与えるのが、食である。今回、食事に関しても初めてきんぴらごぼうや魚肉ソーセージ、ゼリー状の栄養ドリンク、アジの干物や高校生が作った鯖缶などを新たに持ち込んだが、「どれもおいしい」と話す。特に評価が高いのが和食であり、栄養摂取面や若田氏自身の好みに加えて、仲間の宇宙飛行士と分け合って楽しみながら食べられる利点があるのだという。またその際には、クオリティもさることながら、品数が増えることが重要と語る。  「どんなに自分が好きな食べ物であっても、繰り返して食べているとおいしさに気付かなくなってしまうので、バラエティをもって食事ができることはとても重要だと思います。世界各国の宇宙食をみんなで相互に分け合って食べていますが、日本食は宇宙に限らず世界で好まれている素晴らしい日本の文化ですし、日本食の宇宙食がさらにバラエティを広げ、宇宙で食される時代が来てほしいですね。そういう部分は、将来宇宙観光旅行が増えた時にも、とても重要になってくるでしょう」(若田氏) 宇宙ビジネス成功のキーワードは「地球との相互連携」  今回のカンファレンスでは、端緒についたばかりである宇宙領域のビジネスに参入した民間企業の取り組みや、ビジネス化のヒントとなる貴重な意見が紹介されている。その中で、5回もの宇宙滞在を経験している若田氏の“エンドユーザー”としての声は、他に代えがたい重みがある。  「今回の滞在では、これまで宇宙産業に携わってこなかった、非宇宙分野の企業の優れた技術、製品技術で私たち宇宙飛行士の生活のQOLが著しく向上していると感じています。ISSの運用は、日本の国として2030年まで延長することが決定しましたが、そうなると宇宙ステーションでの生活に必要な日用品はもっと多くの種類が必要になるし、民間宇宙旅行が拡大していく中でも、日用品のニーズは更に高くなってくるでしょう。より多くの企業の皆様に、宇宙市場への参入を期待しています」(若田氏)  その際のキーワードとして若田氏は、「宇宙と地球の相互連携」を挙げる。「宇宙で活用する技術を開発する際には、すでに地上にある技術を使って宇宙での活動をより豊かにしていくための『スピンイン』と、実際に宇宙で使うために獲得した技術を地上での様々な産業に適用する『スピンアウト』の双方向の技術展開がうまく機能することによって、産業的にも成り立つ循環になっていきます。多くの企業に宇宙を知ってもらい、技術開発にチャレンジしていただく事によって、それらが地上での製品開発にも繋がっていくでしょう。我々宇宙飛行士もそういった企業の皆様を応援できるように、様々なフィードバックを提供していきたいと思っています」(若田氏)  実際に現在「きぼう」では、民間利用に向けた様々な実験が行われており、若田氏のミッションにも複数の「きぼう」の商業利用に関するものが含まれているという。 地球低軌道の利用は民間主体の体制に移行する  最後に同氏は、宇宙ビジネスへの参入を検討する日本の企業やカンファレンスの視聴者に対し、“現地”からメッセージを送った。  「2030年以降のポストISSの時代を見据えると、近い将来に地球低軌道の利用は、民間主体の体制へと移行していくでしょう。ISSや『きぼう』の民間利用は、地球低軌道の活動を経済活動の場にしていくための推進剤、起爆剤になると思います。多くの企業が参加することによって適切な競争が生まれ、宇宙で製品を利用する際のコスト低減に繋がりますし、宇宙に挑戦することによって、そこで得られた技術開発が地上の産業の成長にも繋がっていきます。そしてそれが国際宇宙探査をより効率的に進めていくエンジンとなり、日本の企業が持っている技術が様々なところで利用されることで、日本がより有人宇宙活動の推進に貢献できるようにもなるのです。個人的にも、そういった双方向のベネフィットがある形で、民間技術の活用が進んでいくことを期待しています」(若田氏) 宇宙ビジネスに取り組む企業にメッセージを送る若田氏  (この記事はUchuBizからの転載です) #Japanesenews #Japanese_news

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Lennon, Ono asked Japan to allow A-bomb film to be shown abroad read full article at worldnews365.me

Beatles musician John Lennon and his peace activist spouse Yoko Ono requested Japanese Prime Minister Eisaku Sato in 1969 to allow abroad launch of an unedited movie on the aftermath of the U.S. atomic bombs on Hiroshima and Nagasaki to stop the same “atrocity,” the Japanese Overseas Ministry’s archives present. …

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2022年フードテックのトレンド振り返り–冷凍食品文化が飛躍 – CNET Japan read full article at worldnews365.me

 2020年初頭に発生した新型コロナウイルス禍から3年が経過しようとしているが、その中でわれわれの食生活や生活スタイルそのものが大きく変化してきた。2022年はフードテックの面においてどのようなトレンドが生まれたのか、振り返っていこう。 「持ち帰り」などのニーズから冷凍食品文化が飛躍  新型コロナウイルス感染症拡大によって消費者の食生活スタイルが大幅に変化したことで、2020年から急速に注目を集めたのが「冷凍食品」だろう。  自動販売機大手のサンデン・リテールシステムが2021年1月に発売した冷凍自動販売機「ど冷えもん」シリーズが全国各地に設置されて話題を呼び、大手外食チェーンから個人店まで幅広く導入されることになった。ど冷えもんシリーズの設置箇所を検索できる同社提供のスマホアプリ「ど冷えもんGO」(App Store/Google Play)で確認したところ、2022年12月23日時点で全国に2362台設置されているのだから驚きだ。  2021年8月には冷凍・冷蔵の切り替えが可能な「ど冷えもんNEO」、12月にはスリムタイプの「ど冷えもんSLIM」、2022年10月にはワイドサイズの「ど冷えもんWIDE」を発売。2023年1月にはマルチエレベーター(可動式収納棚)の採用によって大型商品や袋物商品にも対応する「ど冷えもんMULTI」と、一気呵成にラインアップを拡充している。 屋外型冷蔵自動販売機「ど冷えもんMULTI」  飲食店の店頭などにおける冷凍食品販売をサポートするのが、大風量の冷気や液体で食品を急速凍結させる急速冷凍機だ。2013年の創業時から急速冷凍機の専門商社として展開するデイブレイクは、2021年10月に初の自社製急速冷凍機「アートロックフリーザー」を発売。2022年6月時点で累計受注台数200台を突破し、2022年9月には機能を向上した新型モデルの受注を開始した。同社は急速冷凍機を販売するだけでなく、これまでに蓄積した知見を基に食材選定から前処理方法、凍結方法、保管方法、解凍方法まで一貫したサポートを行う「トータルフリージングシステム」を提供するのが特徴だ。 デイブレイクの急速冷凍機「アートロックフリーザー」  真空パックした食品を約マイナス30度のアルコールで急速凍結させる液体急速冷凍機「凍民」を製造販売するテクニカンは2022年11月に、家庭向けに急速冷凍機の技術を活用した冷凍庫「凍眠マジック MG-01」を発売した。液体をパックに入れた「液パック」で食品を包み込むことで急速冷凍するというもの。パナソニックの冷蔵庫が搭載する「はやうま冷凍」機能(2020年モデルから搭載)なども急速冷凍機能の一つだが、液体の熱伝導性の高さを生かした冷却機能というのはこれまでにないユニークなものだ。  コロナ禍で進化が進む冷凍食文化において注目したいのが、2022年4月に国内展開がスタートしたYo-kai Categorical Japanの自動調理自販機だ。冷凍されたラーメンやうどんなどを独自のスチーム技術によって解凍・調理するというもの。持ち帰って調理する冷凍食品とは違ってその場で食べられることが消費者としては魅力となっており、外食産業の人手不足に対応する無人化ソリューションとしても注目されている。  2022年9月には一風堂を展開する力の源ホールディングスと、テーブルマークを傘下に持つ日本たばこ産業と業務提携および資本提携を結んだ。2022年12月時点で国内の設置箇所はJR東日本の上野駅や首都高パーキングエリアなどの8箇所(合計9台)と少ないが、これら大企業との資本提携によって今後かなり展開が進んでいくことが期待される。 Yo-kai Categorical Japanの自動調理自販機 古来から日本で親しまれている「発酵」を再注目する動き  ここ数年で注目度が高まっており、日本でもさまざまなアプローチによって新たな取り組みが進んでいるのが「発酵」だろう。発酵とは微生物の働きによって食品が変化することで、お酒などを生み出すアルコール発酵や、漬け物やヨーグルトなどを生み出す乳酸発酵、味噌や醤油などを生み出すアミノ酸発酵などがある。  一つの取り組みが、日本酒の製造技術を用いて生み出した「クラフトサケ」だ。お米を原料にしながらも、日本酒(清酒)とは異なるプロセスを取り入れたり、フルーツやハーブなどの副原料を入れたりして新しい味わいを生み出すお酒のこと。2022年6月にはクラフトサケ醸造所による同業者組合「クラフトサケブリュワリー協会」も設立された。 日本酒の製造技術を用いて生み出した「クラフトサケ」  その中の一社である稲とアガベ、は日本酒製造には欠かせない「米みがき」をほとんどしない酒造りを行っている。米の中のタンパク質が雑味を生み出すことから、肥料を抑えてタンパク質生成を抑制する米作りを行っているという。同社ではさらに、日本酒製造工程で出る酒粕を使い、動物性食材を一切使わずにマヨネーズのような味わいを生み出す「発酵マヨ」の開発も進めているという。醸造元がお金を払って廃棄している酒粕をアップサイクルすることによって生まれる新たな食材にも注目したいところだ。  クラフトサケと同じ日本酒技術がベースでありながら、全く違うアプローチによって生み出されたのが、ナオライが2019年に生み出した「浄酎」だ。酒造米ではなく食米を用いて酒蔵が日本酒造りを行い、できたお酒を独自の低温蒸留技術を用いて蒸留したというもの。さらにオーク樽などに入れて長期熟成を行うことで、ウイスキーや高級ホワイトリカーのような味わいを生み出すというのが大きな特徴だ。さらに浄酎製造工程の中で副産物として生成されたアミノ酸エキスは、化粧品や発酵食品、酵素ドリンクなどに活用できるという。  どちらも縮小していく日本酒業界を再生するだけでなく、副産物を付加価値の高い食品にアップサイクルする取り組みにもなっているため、今後の発展が期待される。  AlgaleXの取り組みもとてもユニークだ。同社は藻類を用いて泡盛かすを発酵させ、DHAの豊富なプラントベースプロテイン「Umamo」を作り出している。魚の養殖に必要不可欠なDHAを小魚で与えるのではなく、プラントベースプロテインを用いることでサステナブルなエコシステムに作り替えようとしているのだ。DHAはサバの10倍近く、旨味成分は昆布の2倍近く含まれているとのことで、ヴィーガン向けサプリメントの開発も進めているとのことだ。  青のりの陸上養殖をはじめとして海藻の陸上・海面養殖を手がけるシーベジタブルは、2022年12月に青のりを発酵させた「青のり醤油」を発表した。これは大豆を使わずに生青のりと米こうじ、塩、水を使って発酵させたものだ。同社は海藻と発酵を組み合わせた「Re-seaweed」ブランドを立ち上げており、今後は青のり味噌や青のり柚子胡椒なども商品化していくとのことだ。青のり醤油は副産物からの高付加価値化ではないが、これまであまり注目されていなかった海藻を発酵させて調味料を生み出すというアプローチは興味深い。 「菌発酵」とは違うアプローチの「マイコプロテイン」も登場  世界的な人口爆発により、食の課題として大きく掲げられているのが「タンパク質クライシス」だ。特に畜産は環境負荷が高いこともあって代替肉の開発が世界中で進められている。米GFIの調べによると、代替タンパクへの投資が2020年には約31億(約4129億円)ドル、2021年には約50億ドル(約6671億)と一気に増大しているという。  その中でも特に伸びを見せているのが「培養肉」と「菌発酵」だ。培養肉は肉の細胞を培養して増やすというもので、菌発酵は微生物を利用した発酵によってタンパク質を生成するというもの。前出のGFIの調べによると、培養肉は2020年の約4.1億ドル(約530億円)から2021年には約13.8億ドル(約1847億円) 、菌発酵は2020年の5.9億ドル(約783億円)から2021年には16.9億(約2244億円)ドルへと大きな伸びを見せている。  醤油や味噌などの発酵に用いられる麹菌に着目し、麹菌によって食品を発酵させるのではなく、麹菌そのものを代替肉として食用にしようという試みを進めているのが筑波大学生命環境系准教授の萩原大祐氏が代表を務める麹ラボだ。  液体培地に麹菌の種を植えて培養することで、麹菌100%の「マイコプロテイン」ができる。グルタミン酸などのアミノ酸を生成するためおいしくなること、日本古来からの伝統的な発酵微生物のため安全性が高いこと、生産過程にかかる環境負荷が低いことなどがメリットだという。  世界的に投資が進む菌発酵タンパクだが、それを日本の国菌である麹菌を発酵に用いるのではなく、そのものを培養して食用にするというアプローチがユニークだ。麹菌は雑食でさまざまな培地を使えるだけでなく、培地によって風味や食感などが変わるとのこと。これから食品メーカーなどとコラボレーションすることで製品化していくことになると思うが、日本発の代替タンパクの発展に期待したい。 #Japanesenews #Japanese_news

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麻倉怜士のデジタル時評–実際に聴いて見て選んだ2022年の愛用品ベスト10 – CNET Japan read full article at worldnews365.me

 2022年もさまざまなオーディオ&ビジュアル製品を試し、多くのコンテンツを視聴した。その中でも「これは」と感じたハード、ソフト10選を紹介する。大きな進化を遂げた最新テレビから、特定の人にのみ「刺さる」専用DACなど、実際に愛用しているモデルも含め、その使い勝手やクオリティ、選んだポイントを解説する。 10位:今なおファンを増やし続ける「ビートルズ」が最新技術で蘇える ザ・ビートルズ「リボルバー」スペシャル・エディション 5CDスーパー・デラックス(UICY-80210 / 税込2万1450円)他ユニバーサルミュージックより発売中 (c)Apple Corps Ltd. 「UNIVERSAL MUSIC「ザ・ビートルズ Revolver スペシャル・エディション」(CD)  「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」(2017年)、「ザ・ビートルズ(The White Album)」(2018年)、「アビイ・ロード」(2019年)、「レット・イット・ビー」(2021年)に続く、ビートルズのリミックス&リマスター&拡張版。オリジナルの4トラックのマスターテープを使用し、新たにステレオミックスし直している。ポイントは、音源分離技術によって、ヴォーカル、ギター、ベース、ドラムスと、個々の音源を抽出し、あるべき位置に再配置している点。オリジナルでは左に寄っていたり、右側が薄かったりと音場がアンバランスだったが、それを修正している。  1曲目の「Taxman」を2009年リマスター版(48KHz/24bit)と聴き比べてみよう。2009年版はギター、ドラムスは左、パーカッションは右、ヴォーカルとコーラスはセンター、ソロギターは右という配置だったが、今回は、低音のベースが大きくなり、明瞭かつ輪郭がしっかりとした。ヴォーカルは鮮明にシャープになり、ヌケがクリアに。全体的にベールをはがしたような鮮鋭感が出て、音がパワフルになった。  今回採用された音源分離技術がもたらすのは、Revolver以外のアルバムにおけるスペシャルエディション化だ。ビートルズは解散から約50年を経てもファンが増え続けており、最近では若年層にも人気がある。新機軸の技術によって、新たな音源が発売されれば、ファンが欲しいと思うのは当然だろう。  今なお新たなファンを獲得するビートルズだが、その旋律の特徴、特有のコード進行、転調技法を研究し、ビートルズ音楽の本質を多角的に掘り下げる講義を2023年1~3月に全7回に渡り行う。「ビートルズ全曲、ほぼ完全分析〈冬編〉」を早稲田大学エクステンションセンターで実施するので、そちらに行かれるとより理解が進む。 9位:クリアかつ一点の曇りない透明な描写を実現する新世代のミュージックモニター スピーカー「KX-3SX」(クリプトン)  最近聴いたスピーカーの中で、飛び抜けて濃い感動を与えてくれたのがクリプトンの「KX-3SX」だ。世の中には、物理的な音は良いのに、音楽性が薄いスピーカーというのが存在する。クリプトンのスピーカーはまさにその真逆。周波数レンジ、ダイナミックレンジの広さ、時間軸再生の正確さなど、非常に優れたオーディオ性能を持ちながら、音楽の匂いが濃厚だ。  私自身、「ミュージックモニター」という称号を贈ったことがあるほど、クリプトンのスピーカーは嗜好に合う。モニタースピーカーとして活用できる高い音性能を持ちながら、いわゆるモニター的な過度な伶俐さはなく、切れ味と質感が両立。音源の持つメッセージ性を明確に引きだすボキャブラリーも豊富だ。  KX-3SXは、35mmリング型トゥイーター、170mmコーン型ウーファーの2ウェイ2スピーカー密閉型という基本構造で、これは旧製品「KX-3SPIRIT」と同一。内部配線とエンクロージャーを変更しただけのマイナーチェンジだが、意外なほどの大胆なグレードアップがなされ、驚かされる。  音楽を聴くと、音の粒子が破格的に細やかになり、音調が圧倒的に緻密。ユニットに秘められていた潜在的な音質力が、仕様変更により、鮮やかに引き出されたように感じる。この実力は映像作品でも遺憾なく発揮されており、2022年のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の「ニューイヤー・コンサート2022」のBDでは、映像の高解像度、高彩度と巧みにバランスの取れた、クリアですべらかで濃密な音色を再現している。  KX-3SXは、徹底してクリアかつ一点の曇りもない透明な描写をしつつ、感情表出が大変濃密な新世代のミュージックモニターと言えるだろう。 8位:22.2chコンテンツを「エコー」で堪能できる8K番組 NHK「22.2chで楽しむ日本エコー遺産紀行ゴスペラーズの響歌」(BS8K)  NHKのBS8Kで放送された「22.2chで楽しむ日本エコー遺産紀行ゴスペラーズの響歌」は素晴らしい出来栄えのコンテンツだ。内容は、洞窟や建物内など、「独特な響き」のする場所でゴスペラーズが歌うというもの。  このコンテンツでは、8K映像の音響方式に採用されている22.2chをそのまま聴けること。実は、22.2chフルで聴けるコンテンツはあまり数がない。22.2chで聴くエコーは180度にひろがり、リアルな響きを存分に感じられる。  特に面白いと感じたのは琵琶湖と京都をつなぐ運河の琵琶湖疏水にボードを浮かべ、ゴスペラーズがトンネルの中で歌った回。琵琶湖疏水のトンネルは2436メートルととても長い。手打ちをすると、長い残響を伴い、響きがゆっくりと減衰していくことが、聴き取れる。ゴスペラーズは、「サウンド・オブ・ミュージック」や「マイ・フェバリット・シングス」など、間のある曲を歌い、響きの減衰を体感する。  実際に聴いてみると、たくさんの響きを感じられるが、でも言葉は明瞭に聞こえてくる。室内音響などの研究を手掛ける日本大学教授の羽入敏樹氏によると、なんと残響時間は24秒におよび、コンサートホールに比べ10倍近く長いとのこと。音響的に分析すると、大きな響きは進行方向の前後に、つまりトンネルの外に向けて進み、その時点で一気に減衰する。同時に水面とトンネルの壁との間で音が反射し、小さな響きはその場に残り続ける。そのため、言葉や歌は明瞭に聴き取れるという。  こうした科学的分析も大変面白く、かつ22.2chの恩恵を存分に受けられる貴重なコンテンツだ。 7位:映画制作現場の声から生まれた、本物のバーチャルサラウンド 写真提供:Stereo Sound ONLINE ソニー「360 Digital Mixing Setting」(バーチャルオーディオ)  360度の空間再現を謳うヘッドホンは、いくつか登場しているが、その多くは近似式程度で、完全に再現できるとは言い難い状況だ。しかし、ソニーから登場した「360 Digital Mixing Setting」(360VME)は、それらとは一線を画す完成度で、目の前のスピーカーから音が出ているような、ものすごいリアリティが味わえる。完全に前方定位するのである。そんなヘッドホンシステムは史上初だ。  開発のきっかけは、コロナ禍でソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(SPE)のスタジオが封鎖になり、ダビングステージでのミックス作業が不可能になったこと。ヘッドホンでダビングステージを再現できないかというSPEからの要請を受け、ソニーグループR&Dセンターが作り上げた。  開発自体は2019年からスタートしており、現在のヘッドホンが4世代目。ヘッドホンには大きく分けて密閉型とオープン型があるが、密閉型ではイヤーカップの中で反射が起きるため、音が抜け、反射が少なくなるオープン型を採用した。3世代目では、低域が足りなかったため、ドライバーを改善し、さらなる低域再現力も増したという。  使用するには、個人の耳を測定し、カスタマイズが必要になるため、現在はプロフェッショナル用途に限られている。すでに、一部のソニー・ピクチャーズ作品のエンドロールには「Digital Mixing …

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More Indonesians in Japan’s foreign trainee program amid weak yen read full article at worldnews365.me

The variety of Indonesian technical trainees in Japan is rising because the latest slide of the yen in opposition to the U.S. greenback and different currencies has discouraged trainees from another nations to come back to Japan. The demographic shift in Japan’s overseas technical trainee program has additionally come about …

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国内最大のスタートアップシェアオフィスを成功に導いた「お願い力」–CIC Japan・平田美奈子氏【後編】 – CNET Japan read full article at worldnews365.me

 企業の新規事業開発を幅広く支援するフィラメントCEOの角勝が、事業開発に通じた、各界の著名人と対談していく連載「事業開発の達人たち」。前回に続き、CIC Japan 合同会社 ゼネラル・マネージャー(オペレーション)/一般社団法人ベンチャー・カフェ東京理事の平田美奈子さんとの対談の様子をお届けします。 CIC Japan 合同会社 ゼネラル・マネージャー(オペレーション)/一般社団法人ベンチャー・カフェ東京 理事の平田美奈子さん(右)  後編は、平田さんたちがベンチャー・カフェ東京を立ち上げてからCIC Tokyoを発足した際の裏話と、現在入居者を増やすためにどう施設を運営しているか、そして平田さん独自のスキルやご自身が実践されているテクニックについて伺います。 海外と違うイベント参加者の空気感 角氏:ベンチャー・カフェ東京の運営はうまくいっている様子ですが、苦労話は? 平田氏:たくさんあります。一例を挙げますと、各国のベンチャー・カフェで参加者の掛け声の音源を取る機会があったのですが、海外では中性音的な感じで「イエーイ」というポップなノリだったのに対し、東京だけ低音の「オー」(笑)。実際に参加者も男性のスーツアンドタイの人が多くて女性の参加者は少ないし、若くもないと。今はブランディング中ですが、元々虎ノ門は官公庁も近いし大企業の方々が多く、木曜の夜にここにいる人たちはそういった層で、あまり女性や若い世代が足を運ぶ場所ではなかったんです。 角氏:その状況でどう対処されたのですか? 平田氏:オーガナイザーを若い人たちにしたり、女性をターゲットにしたい時には、コンテンツを変えるようにしたりしました。あと、日本人はネットワークを作ることが下手なんです。名刺交換から始まるので、「What do you do?」の話ではないですけど、そういう雰囲気で話せないんです。大企業の方は「これからはオープンイノベーションだ」と意気込んで来られるのですが、異業種交流会の延長のような感覚で、我々が「Are you prepared?」と話しかけて一生懸命先導しようとしても、なかなかうまくいきません。 角氏:空気が合わないと。 平田氏:なので、日本だけネットワーキングの練習をやっています。2人組で寸劇みたいに、「こんな風に会話を始めればいいんですよ」と。イベントの開始時は毎回先導しています。 角氏:ただ、ベンチャー・カフェではそれだけ結果も出されたということですよね。 平田氏:大成功です(笑) コロナの真っ只中にCIC Tokyoを開設 角氏:そこで「CIC Tokyoもいけるぞ」となったわけですね。 平田氏:ベンチャー・カフェと並行して森ビルさんと賃貸契約交渉も進め、デザインや工事を進めるフェーズに入りました。それで色々な段取りをする事務的な仕事に忙殺される中、コロナに突入してしまいまして。本当は当初オリンピックが開催される予定だった時期に開設する予定だったのですが工事も遅れ、2020年10月にCIC Tokyoを開設する運びとなりました。 角氏:そんな状況ではメンバーを集めるのも大変だったのでは? 平田氏:スタッフの採用もバーチャルで行いました。CICの知名度が全くない、施設ができていない、見せられるものも何もないという中で。 角氏:うまくいく要素が見当たらないですね(笑)。でも最初に仲間集めをした時もそうでしたが、何か殺し文句は用意していたのですか? 平田氏:「手伝ってください」だけです。この方にはぜひ、同じチームで仲間になって欲しいという人には、事あるごとに「今だよ、今だよ」と声を掛けていて、そうやってキーになる人間を集めました。 CIC Tokyo ベンチャー・カフェの実績を評価されセールス担当に 角氏:CIC Tokyoがオープンしてからはどのようなことがありましたか? 平田氏:実は私の肩書は当初ベンチャー・カフェのプロジェクトマネージャーで、契約もCICがオープンするまでだったんですね。私自身施設運営の経験もないし、開設後はここで貢献できることはないと思っていました。そんな折にティムから「セールスをやって」と言われたのですが、セールス経験がないので逡巡していたんです。それで会長の梅澤に相談したら、「いやいや、今まで色々売ってきている。ベンチャー・カフェもそうだし、CICで仲間を集いたいという入居者を集めるのもコミュニティに参画する人を呼び込むということだから大丈夫」と、背中を押してくれたのです。私としても、せっかく乗りかけた船だし開設してからどう回っていくのか見届けたいという思いもあったので、引き受けることにしました。 角氏:梅澤さんの仰る通りですよ。それで実際にはどうやってオフィスを売っていったのですか? 平田氏:最初は全部イメージ図で、バーチャルで売るという状態でした。 角氏:何と!そんな状態で売れたのですか? 平田氏:今、こんなにたくさんの人がいらっしゃいます! 角氏:さっきまでの自信無さ気な姿とは全然違うじゃないですか(笑)。何で売れたと思います? 平田氏:コミュニティの中での口コミやご紹介があって、それがCICらしい広がり方でもあるし、実際に強いリードになっていますね。後は私自身もこれまでに一生懸命、スタッフはじめ入居を検討される方に対してCICの存在意義を伝えてきました。起業家支援、エコシステム、ネットワーキングの機能を備えていて、長屋のようなで繋がりでいろんな人が夢を手助けしてくれる、力を分け与えてくれるような場所にするということを、何度も何度も伝えたし、開業してからも100回近いイベントに出てアピールもしました。 角氏:この時期にイベントを開くのは大変では? 平田氏:本当に何もかも逆行していましたよね、オフィスに来るなという時にオフィスを売り始め、イベント集客もしたので。でもその結果、オンラインとオフラインのハイブリッドモデルのイベント運営ができている国内トップクラスのイベント施設になれたと思います。 シェアオフィスの集客に生きたベンチャー・カフェの価値 …

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Blood found on clothing owned by suspect in deaths of 3 near Tokyo read full article at worldnews365.me

Traces of blood have been detected on clothes confiscated from the house of the suspect within the deaths of three individuals discovered with blunt trauma accidents at a residence in Saitama Prefecture, north of Tokyo, investigative sources stated Friday. The black clothes is identical colour as that worn by a …

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Yen set for turnaround in 2023 after slide to 32-year low vs dollar read full article at worldnews365.me

The yen is ready to achieve floor in 2023 in a pointy turnaround from a plunge to a 32-year low in opposition to the U.S. greenback, conserving Tokyo shares subdued coupled with a dismal world financial outlook. The Japanese forex is predicted to rise towards 120 yen in opposition to …

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Japan’s Nikkei stock index drops 9% in 2022 for 1st yearly fall in 4 years read full article at worldnews365.me

The benchmark Nikkei inventory index completed the 12 months down 9.4 p.c on Friday, as Russia’s struggle in Ukraine and fears over a possible international recession as the results of aggressive financial tightening by central banks offset the influence of strong company earnings with the yen’s historic fall. Within the …

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メタバースに存在するセクハラや嫌がらせ–快適に過ごすために考えたいこと – CNET Japan read full article at worldnews365.me

 Metaが仮想現実(VR) プラットフォームへの事業を拡大するにつれて、メタバースへ注目が集まってきている。その一方で、メタバースでユーザーがいわゆるセクハラや嫌がらせを受けているという不穏な報告も出ているようだ。  「メタバースに入ってからたった60秒で……」。とある女性が2021年12月の投稿で次のように書いている。  「私は性的な嫌がらせを受けました。相手は男性の声の3、4人の男性アバターで。事実上、私のアバターは集団で性的な嫌がらせをされました」  そして男性アバターのユーザーは、彼女が性的な嫌がらせを受けている様子の写真を撮り、「嫌がるふりをするな」などのコメントを彼女に送ったと詳しく述べられている。この女性は、心理療法士でありメタバースの研究者でもある。また、別の女性もメタバース上で痴漢行為を受けたという報告をしており、こういった嫌がらせを受けた経験のあるユーザーは少なくないということが調査によっても報告されている。  このようなセンシティブな問題には注目は集まりやすい。メタバースが普及すれば、それに伴って考える必要がある問題も見えてくる。これまで筆者の齊藤大将も、メタバースをより楽しむ方法やメタバースに必要なデザインなどについて考えたり、VR上に学校コミュニティを創設したりしてきた。  そこで今回は、メタバースで憂慮すべき嫌がらせ行為について紹介する。 メタバースにおける嫌がらせは、現実のそれと違わない  前述した女性の例のみならず、ユーザーの行動を研究している研究者など、 メタバースで別のユーザーから嫌がらせを受けたという事例は少なくない。2021年の Pew Analysis Middle の調査では、アメリカ人の 41% がオンラインで何らかの嫌がらせを経験したことがあるという。さらに、セクハラやストーキングなど、より深刻なオンラインでの嫌がらせに直面する人が増加している。 同じ調査によると、オンラインでセクシャルハラスメントを受けたと報告した女性の割合は、4 年間で 8% から 16% に増加している。  メタバース空間にVRゴーグル(HMD)を装着して没入する場合、バーチャルとフィジカルの境界がぼやけ、多感覚の体験が生まれる。この場合、メタバースでの嫌がらせの経験を、物理的な経験のように感じてしまう傾向が強い。  たとえば、SNSなどのオンラインで言葉による嫌がらせを受けた多くの女性は、オンライン上での自分の経験を「現実のもの」と話し、これらの経験は心理的に良くない影響を与えている。  こういった事実をもとに、メタバースでの嫌がらせが現実の経験にどのように似ているか、オンラインとオフラインというある種デジタル二元論的思考について考えていく必要もありそうだ。  同じオンラインにせよ、VRのような没入型の触覚要素を含まないSNSのような他の形態のオンラインでの嫌がらせと、メタバースでの嫌がらせには異なる点がいくつかある。もっとも、メタバースでの嫌がらせはこれまでのオンラインでの嫌がらせの要素を一部持ちつつも、より現実的な悪い体験としてユーザーにとっては記憶される。メタバースでは身バレもしなければ、アカウントの作り直しや複数アカウントの所持も可能な環境のため、責任感がどうしても低くなってしまいがちだ。これは、SNS上での感情的および言葉による嫌がらせや誹謗中傷ともまた異なり、これまでの身体的嫌がらせに関する歴史とインターネットでの嫌がらせの複合的なものに近いのかもしれない。  こうしたケースは、明らかに憂慮すべきものだ。しかし、より複雑なのは、それがどうほかの人々に受け止められたか、という点かもしれない。最初に紹介した被害者の女性が自分の経験についてSNSに書き込んだ際には、非難の嵐にあったという。そこには「女性アバターを選ぶな」「おかしなことを言うな。仮想空間は現実ではない」といった反論が並んでいたそうだ。メタバースでの嫌がらせがSNS上で注目されると、往々にして、ジョークのように流されることもある。あくまで仮想空間で起きたことであり、仮に何か影響があったとしても大したものではない、という見方が一般的なようだ。  一方で、自分自身が黒人男性になり、実際に行われた黒人差別行為を体験できるVR作品も過去にいくつか制作されている。メタバースの嫌がらせ行為と照らし合わせて考えてみると、アバターの見た目は女性だが中身は男性だった場合、女性がうけるセクハラ行為を男性は自分ごとととして体験できるのだろうか。 現実もSNSもメタバースも人の情動は変わらない  SNSによる誹謗中傷によって精神的被害を受ける人はたくさんいる。なかにはそれが原因で鬱や自殺にまで追い込まれてしまうケースもある。  前述したようにSNSでの嫌がらせも、本人は軽い気持ちで発していたとしても、受け取った側には直接言われたかのような体験となり、心に大きな傷が残ってしまう。メタバースで嫌がらせを受けた女性についても、もしかしたら相手はちょっとしたちょっかいやじゃれ合いと思って行動していたかもしれない。つまり、セクハラする側は問題行動してるという自覚がないという可能性がある。しかし、性的嫌がらせを受けた女性にはひとつの大きなトラウマとなってしまったと推察する。その結果として、うつ病、不安、さらにはパニック障害やPTSDを発症する人もいる(参考)。  メタバースでは特に見た目や音声を変えることが可能であるため、なにをしても許されると勘違いしている人もいるのかもしれない。それがメタバース特有の文化でもあり、可能性のひとつと言える。しかし、そこにいるのは「人」である。そして、メタバースはVR SNSとも言われるように、メタバースはSNSよりも物理的な空間だ。物理的空間は、意味を与えられて場所になる。物理的世界において、対人関係ができることで、その場所は社会化する。「場所」には、物理的特性と情動的特性が不可欠である。どちらかがかけてしまっていては、それは場所にはならない。  メタバースをより温かみのある「場所」、そしてそこに「社会」や「文化」が形成されていくのであれば、より良い対人関係を作るための配慮や倫理観も求められるだろう。メタバースでは嫌なら相手をブロックしたりアバターや音声を非表示(ミュート)するようなことも可能である。技術的には嫌な相手をシャットアウトすることもできる。しかし、SNSと同様に「〇〇にブロックされた!」などブロックやミュートがバレることで与える不快感やいざこざもある。嫌な相手をブロックして気にせず過ごせる人もいれば、ずるずると抱え込んでしまう人もいる。そもそもメタバースで他のユーザーのブロックやミュートができることも知らない人の方も多い。  Metaは、同社が運営するメタバース「Horizon Worlds」と「Horizon Venues」向けに、アバターの周囲にパーソナルな距離を設定できる「Private Boundary」機能を搭載している。他人のアバターの手が、誰かのパーソナルスペースに侵入するとその手が消える「ハンドハラスメント対策」を応用したものであり、メタバース上でのセクシャルハラスメントを防止するための機能だ。こうした技術的な解決も一つポイントになってくるだろう。しかし、嫌がらせをしてくる他者をブロックできたとしても、そうした行為によって受ける傷を事前に回避できるわけではない。  2021年後半、MetaがHorizon Worlds をリリースしたとき、ユーザーからはすぐに性的嫌がらせの報告が上がった。 メタバースは非現実だが体験は現実  メタバースというものは、多くの人々にとってはゲーム空間というイメージだろう。その視点からすると、メタバースでの嫌がらせは現実に起こったものではないから真剣に考える必要がないと感じる人もいるのかもしれない。  しかし、メタバースに関するデザインの記事でも以前筆者は述べたが、メタバースで体験することは限りなく現実に近い。メタバースを非現実と捉えるよりは、現実の中にこれまで非現実的だったものが取り込まれている方が正しいかもしれない。「バーチャル空間だから物理的な干渉ない」という甘い認識だと、行為によっては相手に対して嫌悪感や不快感を与えてしまうことも少なくない。実際に、筆者の周りでもメタバースでの他者とのコミュニケーションの難しさに、メタバースから離れてしまった人もいた。  現象が起こっている世界はバーチャル空間で非現実的だが、体験したこと、認知したものは現実のものとしてユーザーに記憶される。メタバース上で他人のアバターと接触する際、物理的な感触は無いにしても、音声や視覚により他者との距離感はリアルに感じる。  たとえば、メタバースでも知らない人と密着するような近い距離感でのコミュニケーションは、筆者を含め多くの人にとっては違和感がある。ゲームで他のユーザーと重なり合ってるだけでも違和感が生じることにも似ているかもしれない。  特に日本人ユーザー間では、初対面でも相手のアバターが小さくて可愛いときは、頭を撫で撫でするコミュニケーションをよく見るが、現実で考えてみるとな不思議な光景である。現実でも握手やキスを挨拶としてる文化もあることを考えると、この「メタバースで相手の頭を撫でる行為」は、メタバース上における日本の新しい挨拶の形なのかもしれない。あるいは、動物をあやすような行為に近いのか(といっても、中身はおじさんであることが多い)。文化的にも興味深い行動である。筆者はメタバースで他人に頭を撫でられたときは、いつもどうしていいかわからなくなる。  しかし、あくまで現実で経験してきたことや現実での風習が、多くの人にとってメタバースでの行動や認知のベースになるため、メタバースに参加していく人が増えていくのにつれて、メタバースやゲーム特有のノリのようなものに対して、受け入れられる人とそうでない人が分かれそうである。 本物らしさが魅力の一つがゆえに  今回取り上げたような嫌がらせ行為はどのSNSでも起こりうる事で、リアルではない空間の方が、自由度が高く開放的になってしまい、ほかの人から見て不快を感じる行動をとってしまうユーザーがいることは否定できない。何にせよ、不快を感じたら利用するのをやめるということも選択の一つとして頭に入れておこう。しかし、やめたからといって記憶がリセットされるわけでもないことも忘れてはいけない。 …

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2022年の半導体市場で起きていたこと–「誰が数年後のパイを大きく切り取るか」 – CNET Japan read full article at worldnews365.me

 2022年の半導体市場を振り返ると、3つのキーワードが浮かび上がってくる。1つ目は「地政学的な再編」、2つ目が「市場のスローダウン」、そして最後に「将来への投資」が来る。  地政学的な再編とは、台湾、韓国、中国という東アジアに最先端のプロセスノードを製造する工場が集中していることに欧米の政府が気付き、それを欧米に戻す動きを加速したことだ。市場のスローダウンは、各社の第2四半期(4月〜6月期)〜第3四半期(7月〜9月期)にPCやスマートフォン向けのSoC、そしてその周辺部分などの製品を中心に、出荷数が前年同期に比べてマイナスになっていること。  需要が弱くなっているのにもかかわらず、半導体メーカーは2024年に向けて工場建設を加速するなど強気の投資を行なっていることが「将来への投資」となる。その背景には現状は短期的に厳しい経済状況にあっても、今後半導体の需要はより増えていくことはあれ、減ることは考えられないと半導体メーカー各社は考えているからだ。  つまり、現状起きていることは、その予想される数年後のより大きな需要というパイを、できるだけ自分のために大きく切り取っておきたい、そういう投資合戦ということだ。 Intel CEO「半導体産業は戦略転換点にある」–その理由とは  5月にIntelがテキサス州ダラス市の巨大空港「ダラス・フォートワース空港」近くで開催したプライベートカンファレンス「Intel Imaginative and prescient」で、Interl CEOのパット・ゲルシンガー氏は「今半導体産業は戦略転換点に来ている」と述べ、半導体産業全体として戦略を転換し、新しい時代に入っていくべきだと述べた。  戦略転換点(Strategic Inflection Level)は、同社創業者の一人であるアンディ・グローブ氏の著書のタイトルともなっている言葉で、市場の環境が変わっていることをいち早くつかみ、それに合わせて国家や企業の戦略も変えていくべきだという意味になる。ゲルシンガー氏が戦略転換点という言葉を使って半導体産業が変わるべきだと訴えた背景には、欧米の政府が半導体産業の国家戦略的な重み付けを変えて、半導体が「戦略的製品」と位置づけ直したことがある。 Interl CEOのパット・ゲルシンガー氏  欧米の各国政府がそうした国家戦略を変更した背景には、コロナ禍と同時に発生した半導体逼迫という事態がある。半導体が足りなくなれば、欧米政府にとって(そして日本政府にとっても)重要な産業である自動車産業が操業停止になるという事態を目の当たりにして、その半導体生産の大部分が台湾、韓国、そして中国という東アジアに集中しているという事実に気付かされたからだ(米国政府によれば75percentが東アジアに集中しており、米国は10%)。台湾が中国との、韓国が北朝鮮との火種を抱えていることは秘密でもなんでもないし、中国は今「デカップリング」と呼ばれる日米欧の経済から切り離しがされるかどうかという瀬戸際にある状況だ。  そうした地政学的な制約の中で、東アジアに大震災が発生したり、戦争が起きたりなどのことを考えれば、「何かがあったら自分たちの経済活動や安全保障にも甚大な被害が及びかねない」と欧米政府が考えるのも無理はないだろう。  このため欧米政府は、そうした半導体製造の施設を、自国に呼び戻す政策を実行している。米国では「CHIPS法」(Chips Act)と呼ばれる法案が国会を通過し、今後5年間で500億ドル(約7兆円)という国費を投じて米国に半導体製造工場を建設する取り組みが行なわれる。IntelやMicron Technologyなど米国の半導体メーカーが巨費を投じて建設する工場の補助金として使われることになる。  また、TSMCやSamsung Electronicsなどの台湾や韓国のファウンダリー(受託半導体製造メーカー)も米国に工場を建設することを加速しており、12月6日には米国アリゾナ州で行なわれた工場の開所式には、TSMCの創始者であるモーリス・チャン氏の他にも、AMDのリサ・スーCEO、Appleのティム・クックCEO、NVIDIAのジェンスン・フアンCEOなど多数のゲストが参加して盛大に行なわれている。 コロナ特需の揺り戻しが起き、需要のスローダウンも発生  だが、そうした半導体メーカーの華々しい発表の裏側では、「市場のスローダウン」という難題が発生している。Intelが発表した2022年第3四半期(7月〜9月期)の四半期決算では、売上が前年比20percentダウン、粗利益率(Gross Margin)が42.6percentと前年比13.4percentダウンという衝撃的な決算だった。特に粗利益が50percentを切ったことは、これまで60percent台があたり前だったIntelの決算としては異例な数値で、大きな驚きの声が上がることになった。  そうした決算はIntelだけでなく、データセンター市場でIntelの強力な競合と考えられているNVIDIAも同様で、やはり2022年度第3四半期決算では売上は対前年比17percentダウン、粗利益率は53.6percentと対前年比11.6percentとこちらも大きく下落している。  IntelやNVIDIAといった半導体産業を代表する企業がこうした決算になった背景には、いずれの企業も昨年同期はコロナ禍による強い需要という「追い風」が吹いていたためであり、いわゆるアフターコロナという状況に突入しつつある現状では、企業のIT投資も、巣ごもり需要も一巡したため、こうした決算になったと考えることができる。  だが、いずれの半導体メーカーも強気な姿勢であることは共通だ。Intelにせよ、NVIDIAにせよ、こうした市場のスローダウンはあくまで一時的な現象だと考えており、今後への積極的な研究開発への投資をやめようとはしていない。例えば、Intelは売上も素利益率も前年同期比から減っているのに、研究開発にかける費用はむしろ増やしており、今期の60億ドルの研究開発費は前年同期比10percentアップとなっている。 数年後の「大きなパイ」獲得が目的の工場建設  短期的に需要が弱くなることは織り込み済みで、「将来への投資」を行なうというのは半導体メーカーだけでなく、日本に多数ある半導体素材メーカーも同様だ。昭和電工と昭和電工マテリアルズ(旧日立化成)が合併して2023年1月に正式に発足するレゾナックが11月に東京で記者会見を開催した。  昭和電工 取締役 常務執行役員 最高戦略責任者 真岡朋光氏は「現状はコロナ禍による巣ごもり需要の揺り戻しや、積み上がった在庫の消費などが発生している。確かにそうした側面はあるが、半導体産業全体として長期的に見ればベースラインは底堅いと考えている」と述べ、短期的には需要の揺り戻しなどが起きている側面はあるが、長期的な半導体需要は底堅いと説明している。 2023年1月1日、統合新会社「レゾナック」が誕生する  そうした方向性は半導体製造メーカーも同様だ。Intelはすでに2021年に発表し着工を行なっていたアリゾナ州の工場(Fab 52/62)に加えて、2022年には米国オハイオ州、そして欧州のドイツに追加の半導体工場を建設していくことを発表している。これらの工場は、Intelが自社製品だけのために建設するのではなく、Intelの競合他社を含む他社製品の受託生産にも利用される。  アリゾナ州に建設していた工場の落成を祝ったばかりのTSMCも、2026年から生産を開始する計画の、新しい工場棟建設をその落成式の中で明らかにしている。TSMCの発表によればその新しい工場棟では3nmのプロセスノードで生産を行い、米国の半導体メーカーの需要に応える見通しだという。今回落成した2024年から稼働する見通しの工場(4nmのプロセスノードで生産される)と合わせて400億ドルの投資をアリゾナ州に対して行なうとTSMCは明らかにしている。  このように、半導体産業全体としては足元の需要はやや弱含みになっているのに強気の投資を行なっている背景には、長期的には半導体の需要は強くなることはあれ、弱くなることはないと考えられているからだ。半導体は既に自動車、白物家電など、PCやスマートフォンといった伝統的なIT機器以外にも無数に使われており、今後はそれもさらに増えていくと考えられている。その意味で、今後10年で右肩あがりに需要は増えていくと半導体産業の誰もが信じており、そこに疑い持つ者は誰もいない状況だからだ。  そのように誰もがパイが大きくなることを信じて疑わない現状の中で、今半導体産業で起きていることは、誰が生き残るかという戦いではなく、誰が最も大きなパイを獲得するかという戦いなのだ。これが半導体産業で2022年に起きていたことだと言ってよい。それが形(数字)となって現われるのは、2020年代の後半ということになるだろう。 #Japanesenews #Japanese_news

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